日本は異常?クレカ手数料は中国・スウェーデンの4倍!海外キャッシュレス事情
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日本のクレカ手数料は高すぎる?各国のキャッシュレス現状比較
世界で進むキャッシュレス化、現金の利用がどんどん少なくなっています。ところが日本ではそのキャッシュレス化がなかなか進みません。保有資産が多い人ほどキャッシュレス化が進んでいる傾向がありますが、国単位ではどうなのでしょうか?GDPは関係あるのでしょうか?
クレジットカードの利用条件や利用状況などを中心に、アメリカ・中国・スウェーデン・日本のキャッシュレス現状を比較すると、日本のキャッシュレス化が進まない原因がわかってきました。
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アメリカ・中国・スウェーデン・日本の比較、GDPは関係ない?
アメリカ・中国・スウェーデン・日本は、それぞれGDPが世界で1位・2位・23位・3位の先進国です。世界的に見ると圧倒的に裕福な国に分類されます。「裕福な方がキャッシュレス化する」というキャッシュレスの傾向が当てはまれば、これらの国々はどこよりもキャッシュレス化が進んでいるはずです。
ところが、実際はキャッシュレス化にはばらつきがあり、お国ごとに抱える問題やキャッシュレス化の特徴が違うことがわかりました。いくつかのデータを比較していくと、その実態が明らかになりました。
- クレジットカードの普及率
- クレジットカードの店舗側手数料
- 各国のGDP
項目は以上の3点に加え、「普及しているコード決済」についても比較してみました。
クレジットカード普及率 | クレジットカード手数料 | GDP | |
---|---|---|---|
アメリカ | 73% | 平均1.76% | 19.39 trillion米ドル (2132兆9千億円) |
中国 | 51.6% | 0.3%~0.8% | 12.24 trillion米ドル (1346兆4千億円) |
スウェーデン | 31% | 平均0.90% | 538 million 米ドル (1億3千8百万円) |
日本 | 84% | 平均3.25% | 4.872 trillion米ドル (535兆9千2百億円) |
<引用先>
株式会社ジェーシービー
CHINA INTERNET WATCH
Statista
意外にもアメリカのクレジットカード普及率を、日本が上回っていることがわかります。ところが、アメリカでは貧富の格差が大きく、貧しい生活を送っている人々は、信頼性が低いとクレジットカードを作ることができません。一方で、裕福な生活を送っている人は一人につき複数枚のクレジットカードを保有し、利用しているのです。
クレジットカード利用額を比較すると、市場で使われているクレジットカード利用額に歴然とした違いがあることがわかります。
アメリカ | 中国 | スウェーデン | 日本 | |
---|---|---|---|---|
クレジットカード 利用総額 |
3.16 trillion 米ドル (347兆6千億円) |
553 million 米ドル (608億3千万円) |
4.7 billion ユーロ (6兆千百億円) |
約60兆円 |
<引用先>
Federal Reserve 2016
日本銀行
JPモルガン
クレジットカード普及率が日本より少なかったアメリカですが、クレジットカード利用額を比べてみると日本よりも約6倍も利用額が多くなっていることがわかります。対GDPで比べてみても、アメリカのクレジットカード利用額がかなり大きくなっています。
その差が特に大きいのが中国です。GDPではアメリカに次いで(2017年)大きな経済大国ですが、クレジットカードの普及率やクレジットカード利用額では圧倒的に出遅れています。普及率もさることながら、クレジットカード利用額はアメリカ・日本・スウェーデンと比べると大きな違いがあります。GDPと比べても、利用額は圧倒的に少ないですね。
では、各国のキャッシュレス事情を分析してみます。
アメリカではクレカ借金が社会問題に?
アメリカはクレジットカード社会が加速しています。意外に日本よりもクレジットカード普及率は高くありませんが、3枚以上のクレジットカードを保有している人は、2014年にはすでに36%にまで昇っています。
一人が有するクレジットカードの枚数が多いアメリカですが、実はクレジットカードの利用について深刻な問題が社会を侵食しつつあります。その問題は、クレジットヒストリーが起因する、アメリカ独自のクレジットカードの利用方法にあります。その独自のクレジットカード利用法が、多くの利用者をクレジットカード借金で苦しめているのです。
クレジットカードを保有するためには、高いクレジットカードスコアをマークし、質の高いクレジットヒストリーを持つ必要があります(ある程度の金額を遅延なく払い続けること)。いいクレジットヒストリーを獲得するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。主な条件は以下のような条件があります。
- クレジットカード利用額を、返済期限に全額返済完了すること
- クレジットカード利用額内でより多くの金額を使うこと
この2点の条件をしっかりクリアすることで、高いクレジットカードスコアを獲得することができ、質の高いクレジットヒストリー(以下クレヒス)を作ることができるのです。
アメリカ発行のクレジットカードを利用して高いクレヒスを維持するためには、「返済期限を守って全額返済し、利用限度額と同額分利用すること」が求められます。したがって、アメリカ人はリボ払いにしている人が多く、毎月使い切るだけの利用限度額に設定している人が多いのが特徴です。つまり、「利用限度額いっぱいまで使い、返済は支払い可能な最小限に設定している」ということです。
この支払い傾向が、知らぬ間にクレカ借金を増やす原因になっています。さらに、2005年にできた破産防止および消費者保護方(Bankruptcy Abuse Prevention and Consumer Protection Act)という法律で、自己破産も容易にはできなくなりました。クレジットカードによる借金の返済に追われる人が増えています。
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クレカ普及が進まない中国、原因は信頼不足か
一方で、GDP世界第2位の中国では、クレジットカードの普及率もクレジットカード利用額も低いことが明らかになりました。中国で最も普及しているクレジットカードは、「銀聯カード」です。日本でも近年見かけることが増えましたね。ところが実際に利用者している人はそこまで多くないことが、クレジットカードの総利用額からわかります。
原因としては、貧富の差が開いていることと返済への信頼が薄いことが挙げられます。アメリカと同様、富裕層と貧困層の間に大きな開きがあり、人口の多い貧困層がクレジットカードを保有できないのです。また、中国では返済の信頼が薄いことも問題です。クレジットカードを用いて支払いをするということは、期限内に全額を返済する能力があることを証明する必要があります。ところが、銀行口座をめぐる詐欺などが頻発しており、返済への信頼が低くなってしまっているのです。
中国で最も普及している銀聯カードは、中国国内での決済手数料は0.3%程度。かなり低く抑えられていますね。普及率は高くありませんが、導入すると嬉しいシステムが完備されています。コード決済が登場するまでは、銀聯カードは唯一のキャッシュレス決済方法でした。返済への信頼度が低いとはいえ、現金での支払いよりも信頼度が高かったからです。
中国では偽札問題も深刻です。現金での支払いの際には、必ず偽札チェックが入るといいます。高額な買い物を現金で行うと、偽札チェックにかかる時間はかなり長くなります。それらの手間を省くために、現在中国では急速に「キャッシュレス化」が進んでいます。
中国ではクレジットカードの普及は進みませんが、かわりに「コード決済」が主な決済方法になっています。最も利用されているコード決済は、AlipayとWeChatPayの2つです。それぞれ8億ユーザー、2億ユーザーを抱え、中国全土で広く利用されています。普及率の高いスマートフォンを用いた支払い方法である上に、数秒で取引が完了するためその手軽さが支持されているのです。
コード決済と同時にデビットカードでの支払いも普及しています。中国では、新しく銀行口座を解説する際に、その口座に紐づけたデビットカードが発行されます。口座にある残高分しか使えないデビットカードは、返済の義務がないため信頼度の低さを補うことができます。
スウェーデンは世界一のキャッシュレス大国、クレカの普及は?
世界中で最もキャッシュレス化/支払いのIT化が進んでいると言われているスウェーデンでは、意外にクレジットカード普及率が31%と低くなっています。利用総額は6兆円を超え、GDPと人口を考えるとかなり多いことがわかります。お店側にかかる決済手数料は平均で0.9%、ヨーロッパ平均の0.96%を下回り安く設定されていることがわかります。(引用:Value Penguin)お店側が導入するリスクが低く、利用者が使いやすい環境が整っています。
ところが、そんなスウェーデンでは「スウィッシュ(Swish)」というコード決済が人気の決済方法になっています。年間利用額140億クローナ(約18000億円)、2018年にはほぼ80%の若者(18歳〜34際)がスウィッシュを利用したことがあるといいます(引用:SVERIGES RIKSBANK)。その用途は90%以上が個人間送金で、送金が無料なスウィッシュのサービスが評価されていることがわかります。
また、スウェーデンでもデビットカードの利用が進んでおり、90%以上の人々がデビットカードを利用しているといいます。全体的に広くキャッシュレス決済が浸透しているスウェーデンですが、クレジットカードやデビットカード、コード決済など様々なキャッシュレス決済方が利用されていることがわかりますね。
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圧倒的に高い日本のクレカ手数料、遅れるキャッシュレス化の原因か
日本のクレジットカード普及率は、84%と世界の国々と比べてかなり高いことがわかります。ところが、その利用額はアメリカと比べて圧倒的に低く、あまり使われていないこともまた事実です。その原因は、お店側にかかる決済手数料が高いことです。クレジットカードでの支払い毎に、3%程度の手数料がかかるのが日本の現状です。他国と比べると圧倒的に高いことがわかります。それゆえにクレジットカードの導入を渋るお店が多く、クレジットカードを使えるお店が少ないのです。特に個人営業の店舗や中小企業の店舗では、決済手数料や導入費用が高くなってしまい、導入が難しいのです。
さらに現在では、LINE PayやPayPayなどのコード決済サービスが利用され始めています。導入費用が無料のサービスや、決済手数料を低く設定するサービスなども登場してきています。コード決済の普及率は30%前後と言われており、これから徐々に増えていく見込みです。
日本のキャッシュレス化が進まない一つの原因は、「手数料の高さ」に起因していましたが、店舗導入費用が改善されていくに連れ、日本のキャッシュレスは進んでいくことが予想されます。
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この記事のライター:Maya Shinoda / ポモチ専属ライター
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