【訪日外国人に聞いた】日本に来て困ったことは「支払いの不便さ」。日本のキャッシュレスはこれから。
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訪日外国人観光客が日本に来て困るのは「クレジットカードが使えないこと」
2020年の東京オリンピックを控えて、日本を訪れる外国人を増やす試みが日本各地で行われています。いわゆるインバウンドを増やす試みですが、果たして日本を訪れている外国人はどのように感じているのでしょうか。
今回は実際に訪れる外国人にインタビューしてみました。
訪日外国人から寄せられる声として多いのは「日本ではクレジットカードを含むキャッシュレス決済サービスが使いにくい」というものです。いくらインフラが整い先進的な街並みを誇っていても基本的な支払いの方法がアナログ(現金)であることが不便、と感じている訪日外国人が多かったのです。
「そんなに不便?」と感じる日本の方も多いと予想されますが、日本でクレジットカードなどのキャッシュレス決済サービスを利用することは、具体的にどのように難しいのでしょうか。
交通系の切符やチャージにクレジットカードが使えない!
最も多く不満があるのは、普段の交通費の支払いです。特急券や新幹線券、定期券などを除いて、基本的に現金でのみ支払いが可能です。現在ではSuicaやPasmo、ICOCAやマナカなどのICカードを用いて電車に乗る人が多いようですが、このICカードにチャージするのにも、海外の方は基本的には現金しか使えません。
このシステムが不便だと感じている訪日外国人が多いのです。
クレジットカード等の普及により、海外に旅行に行っても最小限の現金しか持たない旅行者が増えています。自国通貨から旅行先の国の通貨に交換するのには、手間も手数料もかかります。できれば簡単に支払いを済ませたいところ。
多くの現金を持ち歩くことに抵抗のある訪日外国人もいます。日本では考えにくいですが、世界中にはまだまだスリや強盗の被害にあう危険があります。そのため、できるだけ現金を持ち歩かないようにしている人も少なくありません。
様々な国から日本を訪れる人たちは、それぞれのバックグラウンドを持っています。(日本に来たなら日本のやり方に従え、という考え方もありますが)インバウンド(訪日外国人)を増やそうとしている以上は、最低でもクレジットーカードの使用域の拡大など、世界スタンダードシステムの整備が必要です。既得権益が大きな存在となっている日本の社会では、新しいものを革新的に取り入れていく風潮は少ないことは事実です。それがネックとなりクレジットカードのキャッシュレス決済システムの導入は、世界各国に大幅な遅れをとっています。
ある外国人旅行者は「田舎の小さな売店でクレジットカードが使えないのは理解できる。だけど首都東京の交通システムでクレジットカードが使えないのはありえないほど不便。日本って先進国だよね?」と言います。日本は経済的には先進国ですが、キャッシュレス化に関しては後発国なのです。
JRにおいては、「VIEWカード」というクレジットカードを発行し、viewカード利用時に限りクレジットカードで乗車費を支払うことが可能になりました。ところがこのviewカード、他のクレジットカードと比べるとJR以外での利用には特典が少なく汎用性が低いことが欠点です。そもそも日本を訪れる外国人が、新たにクレジットカードを作っている余裕はなく(元々作れないことが多い)、交通費は現金で払うしか手が無いのです。JR以外の鉄道でも同じようなことが見られます。
1日券なども販売されている場合もありますが、それを買うのにも現金が必要です(もしくはみどりの窓口の行列に並ぶ)。さらには交通会社が多岐に渡るため、1日券を複数持たなければならない、もしくは1枚でやりくりするために大回りをして時間を無駄にしなければならないなどの弊害もあり、日本の交通は観光客にとって不親切であることがわかります。
月額定額で様々な乗り物が乗れるMaas(Mobilty as a service)というビジネスも始まってきましたが、まだまだ世界からは遅れをとっています。
インバウンドを増やすためには、日本の魅力を伝えることも大切ですが、日本を訪れる様々なバックグラウンドを持つ人たちの立場に立って決済方法を整備することも求められています。
Apple Payは日本版じゃないと使えない(iPhone7s以前は)
最近ではSuicaを利用する場合に限り、Apple PayやGoogle Payなどのモバイルを用いての利用が可能になっています。
ところが、最新の機種でない限り、海外で購入したスマートフォンでは、SuicaをApple Payに登録することができないのです。iPhoneシリーズではiPhone8以降からでないと登録ができません。筆者自身も、諸事情でチェコ共和国で購入したiPhone7を利用しているのですが、自分のスマホにSuicaを登録できないことが発覚し、帰国時に愕然としました。
日本を訪れたことのある外国人の中には、「日本では、自国で使っているようにApple Payは使えないから困る」「Suicaは使えるといっても新たにアプリをダウンロードして、登録を行う必要があるからややこしい」などの声が上がっています。(Lonely Planet)日本にずっと住んでいる人にとっては他愛もない作業ですが、日本に数日しか滞在しない人たちにとっては手順はできるだけ少ないほうが望ましいです。
日本で海外のApple Payが使えないのは、日本版Apple Payが採用しているモデルが、世界で広く採用されているものと異なるからです。タッチシステムの種類が違うために互換性がないことが原因です。世界のどの国でもスマホ一つで決済ができていたのに、日本に来たら急に使えなくなった、という声は少なくありません。逆にいえば、日本製のiPhoneに搭載されているApple Payは、特にiPhone 7s以前のものでは、海外で使える域が狭くなってしまうことがわかります。
ランチとディナーでクレジットカードの使用可否がある
訪日外国人の間では、クレジットカードが使えるお店の中で使えない時間帯がある、と戸惑いの声も上がっています。
日本で長く生活している人にとっては経験があることかもしれませんが、レストランによってはディナーの支払いでクレジットカードが使えても、ランチでは使えない場所がありますよね。ところが、そういうレストランの場合でも、食べログやぐるなびなどのグルメサイトでは「クレジットカード利用可能」と表示されている場合が多いのです。クレジットカードの利用に関して、時間的制限があることを明記していない場所も多く、支払い時に困ってしまったという人も少なくありません。
ディナーは額が大きくなるために、クレジットカード会社に払わなければいけない手数料があったとしても利益率は高くなりますが、単価の売り上げが安いランチでは、手数料を支払いたくない、という店側の事情もあることでしょう。キャッシュレス決済導入には、店舗側に金銭的な負担がかかることは事実です。ただでさえ利益率の低い飲食業で、さらに手数料で利益が減るのは厳しいでしょう。そのためにも、LINE Payのように手数料などを補填するシステムのあるサービスが多く普及する必要があります。既得権益や手数料という概念から抜け出し、新たな利益スタイルを模索する必要があります。
観光地でも使えない!
田舎の小さな売店どころか東京の公共交通機関でもクレジットカードは使えない、Apple Payもほとんど使えない、だけどさすがに観光地なら使えるだろう・・・このような訪日外国人の期待は無残にもぶち壊されます。世界の有名な観光地では、さらなる観光客の誘致と混雑解消を目的に、グローバルに採用されているクレジットカード決済やコード決済、オンライン決済が可能な場所がほとんどです。ところが、日本の観光地はそういうわけにはいきません。
例えば京都。都の風情が今でも残る日本の観光地の代表格ですが、入場料のかかる神社仏閣では、ほとんどクレジットカードを利用することができません。
ほとんどの入場料は1,000円以下とはいえ、観光でいくつも回るほとんどの観光客にとってはカードで払いたい額になってしまいます。ある訪日外国人からすると、「お祈りをするための場所なのにお金を払わなければ入れないって、日本人は宗教をなんだと考えてるの?」ということですが、確かにヨーロッパなどでは教会に入るのに入場料はほとんど必要ありません。日本の方針として、神社仏閣に入るのに入場料がかかるのは「観光地だから仕方がない」。このように割り切ったとしても、現金でしか払うことができないのは大変不便ですよね。初めて日本に来た方は、その不便さに「次来るときはきちんと現金を持てる準備をしてから来よう」と思うか、「こんなに不便なんだったら、もっと利便性の高い近隣諸国に行こう」と思ってしまう人の二パターンでしょう。インバウンドは、リピーターが増えて恒常的に底上げされます。もう一度日本を訪れたいと思わせるためには、国自体の魅力も必要ですが、それをより引き立てる便利なシステムは必要不可欠です。幸いなことに日本を訪れる外国人の数は年々増えています。アジアからの方が多いですが、欧米からの観光客も多く、日本は間違いなく世界中で人気の旅行先です。2020年の東京オリンピックが終わった後でも、多くの観光客が訪れるに値する文化や歴史があります。日本の魅力を最大限感じてもらうためには、導入できるものは導入し、既存の枠から解き放たれなければなりません。「日本は先進国に足る社会システムで、先進的な生活を経験できた」「素敵な文化がある日本をまた訪れたい」と思ってもらうためには、キャッシュレス決済サービスを幅広く充実させ、利便性を高めることが必要です。それが結果的に日本に住む人たちにも恩恵となって返ってきます。いつまでも取り残されたままではいられません。
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この記事のライター:Maya Shinoda / ポモチ専属ライター
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